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SAP組織の複雑さに対応する設計

ある大手金融サービス企業は、5つの事業部門にまたがる200以上のAWSアカウントを管理しています。現在の課題として、(1) 各アカウントのセキュリティポリシーが個別に管理されており一貫性がなくコンプライアンス違反が散見される、(2) CloudTrailログが各アカウントのS3バケットにローカル保存されており改ざんリスクがある、(3) セキュリティチームが全アカウントの脅威インテリジェンスを集中把握できない、(4) 事業部門ごとのコスト配賦は必要だが経営層向けの統合コストビューが欲しい、という4つの問題があります。規制要件として、全アカウントでAWS KMSによる保存データ暗号化が必須であり、CloudTrailの無効化は禁止されています。ソリューションアーキテクトは最小限の運用負荷でこれらすべての要件を満たすアーキテクチャを設計する必要があります。最も適切なアプローチはどれですか?

A
AWS Organizationsでアカウントを事業部門ごとのOU(組織単位)に整理し、SCPをRoot OUレベルで適用してCloudTrailの無効化とKMS非暗号化リソース作成を組織全体で強制禁止する。組織証跡(Organization Trail)を構成してログをセキュリティアカウントのS3バケット(Object Lock有効・WORM[Write Once Read Many: 一度書き込んだら変更・削除不可の記録方式]設定)に一元集約する。セキュリティアカウントをAWS Security Hubの委任管理者として設定し、全メンバーアカウントのファインディングを自動集約する。Cost Explorerとコスト配分タグを組み合わせて事業部門別コストと統合ビューを実現する。
✓ 正解
AWS OrganizationsのSCP(Root OUレベル)によりCloudTrail無効化とKMS非暗号化を組織全体で強制禁止、Organization Trail が改ざん防止S3に集約、Security Hub委任管理者が全ファインディングを統一管理します。
B
各事業部門のマスターアカウントにAWS Configルールを展開してコンプライアンスを監視し、Lambda関数による自動修復を構成する。CloudTrailログはKinesis Data Firehoseを経由してセキュリティアカウントにリアルタイム転送する。セキュリティチームにはIAM Role信頼ポリシーによるクロスアカウントアクセスを付与する。コスト管理はAWS Budgetsで各アカウントに閾値アラートを設定して対応する。
AWS Configルールはコンプライアンス違反の事後検出が主目的であり、SCPによる予防的統制がないためコンプライアンス違反を組織全体で事前防止できません。
C
AWS Systems Manager Automationで全アカウントのコンプライアンス設定を定期スキャン・自動修復する。EventBridgeルールでCloudTrail設定変更イベントを検出してSNS通知を送信し、セキュリティチームが手動対応する。セキュリティチーム用のジャンプホストアカウントを作成しAWS IAM Identity Centerでシングルサインオンを提供する。Athenaを使って各アカウントのCloudTrailログを横断クエリ分析する。
Systems Manager Automationと EventBridgeによる手動通知ベースのアプローチは予防的統制がなく、コンプライアンス違反の事前防止ができません。
D
AWS Control Towerを導入して新規アカウントプロビジョニングを自動化しガードレールを設定する。既存200アカウントをControl Tower Enrollmentで取り込むことで組織証跡も管理対象となるが、前提条件の準拠確認や移行作業に大きな運用負荷が伴う。Security Hubは各アカウントで個別に有効化してカスタムアクションで集約パイプラインを構築するため、委任管理者パターンと比較して管理が複雑になる。
AWS Control Towerのエンロール作業は既存200アカウント対象で運用負荷が高く、Security Hubを各アカウント個別有効化は「最小運用負荷」要件に反します。

解説

SCPはRoot OUレベルで全メンバーアカウントに強制適用でき、CloudTrail無効化やKMS非暗号化を組織全体で禁止できる唯一の予防的統制手段です。組織証跡はメンバーアカウント側での無効化が不可能であり、Object Lock付きS3で改ざんを防止できます。Security Hub委任管理者パターンは各アカウントへの個別設定なしで集中管理を実現します。 選択肢B・Cは、SCPによる強制がなく予防的統制が欠如しているため、コンプライアンス違反を組織全体で防止できません。 選択肢DのControl TowerはLanding Zone設計として有効ですが、既存200アカウントの一括エンロールメントは運用負荷が高く、Security Hubを各アカウントで個別有効化する方式は最小運用負荷の要件に反します。

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