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SAP組織の複雑さに対応する設計複数選択

ある大手製薬企業は、AWS Organizationsを使用して60のAWSアカウントを管理しています。FDA(米国食品医薬品局)の21 CFR Part 11規制(電子記録・電子署名に関する規制)に準拠するため、以下のバックアップ要件を実装する必要があります: ①すべてのアカウントのRDS・EC2(EBSボリューム)・DynamoDB・EFSのバックアップを一元的に管理・強制する ②バックアップデータは最低7年間保持する ③バックアップデータは改ざん・削除から保護される必要がある(不変性の確保) ④バックアップデータを別のAWSリージョン(DR用セカンダリリージョン)にも保持する ⑤バックアップポリシーの変更はメンバーアカウントのユーザーからは行えないようにする ⑥ランサムウェアなどのセキュリティインシデントに備え、バックアップボールトを本番アカウントから論理的に分離する 要件を最も効率的に満たす実装を2つ選択してください。

A
AWS Organizationsのバックアップポリシー(Backup Policies)を使用してAWS Backupの設定を一元管理する。バックアップポリシーにRDS・EC2・DynamoDB・EFSのバックアッププラン(スケジュール・保持期間・クロスリージョンコピーのルール)を定義し、Root OUに適用する。SCPでメンバーアカウントからのbackup:DeleteBackupPlanやbackup:UpdateBackupPlanなどのアクションを拒否し、バックアップポリシーの変更を防止する
✓ 正解
AWS Organizations のバックアップポリシーは Organizations ポリシータイプの一つで、管理アカウントから JSON でバックアッププランを定義し OU・アカウントに適用して全アカウントのバックアップを強制できます。クロスリージョンコピールールで要件④、SCP 併用でメンバーからの変更防止(要件⑤)を満たします。
B
専用の「BackupVault」AWSアカウントを作成し、AWS Backupのクロスアカウントバックアップ機能を使用して各本番アカウントのバックアップデータをこのアカウントに保存する。BackupVaultアカウントのバックアップボールトにAWS Backup Vault Lock(WORMモード:Write Once Read Many)をコンプライアンスモードで適用し、最小保持期間を7年に設定する
✓ 正解
専用 BackupVault アカウントへクロスアカウントバックアップすることで本番アカウントから論理的に分離できます(要件⑥)。Vault Lock のコンプライアンスモードは管理者でも解除できない WORM 保護を提供し、最小保持期間7年で改ざん・削除を防止します(要件②③)。
C
各メンバーアカウントにAWS Backupをローカルにデプロイし、各アカウントのバックアップボールトにVault Lockをガバナンスモードで設定する。AWS Backup監査マネージャー(Audit Manager)でコンプライアンス状況を中央監視する。バックアップポリシーはSCPでメンバーアカウントからの変更を制限する
バックアップボールトを各本番アカウント内に置くと、そのアカウント侵害時にバックアップも削除されうるため要件⑥を満たしません。ガバナンスモードの Vault Lock は管理者が解除でき、規制が求める不変性レベルに不足します。
D
Amazon S3のオブジェクトロック(Object Lock)をコンプライアンスモードで設定したバケットをセカンダリリージョンに作成する。AWS DataSyncを使用して各本番アカウントのRDS・EBSスナップショットデータをS3バケットに同期し、7年間のWORM保護を実現する。クロスアカウントアクセスはS3バケットポリシーで制御する
DataSync は RDS・EBS スナップショットの直接同期向けに設計されておらず、別途エクスポート処理が必要です。AWS Backup の統合を使わない独自実装は運用が複雑で、要件を効率的に満たせません。
E
AWS BackupとAWS Organizations統合を使用してバックアッププランを組織全体に適用する。CloudFormation StackSetsで各アカウントにバックアップボールトとバックアッププランを展開し、バックアップデータはスタックポリシー(Stack Policy)でメンバーアカウントからの変更を防止する
StackSets のスタックポリシーは CloudFormation スタックリソースの更新保護であり、バックアップデータの不変性保護ではありません。Organizations Backup Policies を使わない展開は中央集権的な管理が困難です。

解説

AWS Organizations のバックアップポリシー(Backup Policies)は、SCP・タグポリシーと同様に Organizations ポリシータイプの一つです。管理アカウントから JSON 形式でバックアッププランを定義し、OU・アカウントに適用することで全アカウントのバックアップを一元的に強制できます。 バックアップポリシー内にクロスリージョンコピールールを含めることで DR 用セカンダリリージョンへの保持(要件④)を満たし、SCP と組み合わせることでメンバーアカウントからのポリシー変更を防止できます(要件⑤)。 もう一方の正解は、専用 BackupVault アカウントへのクロスアカウントバックアップです。AWS Backup Vault Lock は WORM(Write Once Read Many)セマンティクスでバックアップの削除・変更を防止します。コンプライアンスモードでは管理者でさえも Vault Lock 設定を変更・削除できないため最高レベルの不変性が確保され(要件③)、最小保持期間を7年に設定できます(要件②)。専用アカウントへ分離することでランサムウェアなどから論理的に隔離されます(要件⑥)。 選択肢Cは、ボールトを各本番アカウント内に置くと侵害時にバックアップも削除されうるため要件⑥を満たさず、ガバナンスモードは管理者が解除できるため規制要件に不十分です。 選択肢Dは、DataSync が RDS・EBS スナップショットの直接同期向けに設計されておらず独自実装の運用負荷が高いため不適切です。 選択肢Eは、StackSets のスタックポリシーが CloudFormation スタックの更新保護であり、バックアップデータの不変性保護ではないため要件を満たしません。

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