SAP新しいソリューションのための設計
ある製造業の大企業は、AWS us-east-1リージョン上でミッションクリティカルなERPシステムを運用しています。
システムはEC2 Auto Scalingグループ、RDS for PostgreSQL(Multi-AZ)、Amazon EFSで構成され、ピーク時には10,000の同時ユーザーが接続します。
事業継続計画の見直しにより、リージョン全体障害発生時のRTO 15分・RPO 5分という要件が策定されました。
現状ではDR環境が存在せず、予算の制約からフルアクティブ-アクティブ構成は採用できません。
コスト効率を重視しながら上記RTO/RPO要件を確実に満たすDR戦略として、最も適切なものはどれですか?
Aパイロットライト構成をus-west-2に構築。RDSリードレプリカとEC2 AMIを事前配置し、フェイルオーバー時にCloudFormationでEC2インスタンスを起動。EFSレプリケーションとRoute 53フェイルオーバールーティングを設定する。
パイロットライト構成はデータ層のみ稼働させEC2インスタンスはAMIとして保管する最小コストのDR手法です。フェイルオーバー時にEC2インスタンスをAMIから起動する必要があるためRTO 30〜60分程度となり、RTO 15分の要件を満たせません。
Bウォームスタンバイ構成をus-west-2に構築。本番の20%キャパシティでAuto Scalingグループを常時稼働させ、RDSクロスリージョンリードレプリカをフェイルオーバー時に昇格。EFSレプリケーションとRoute 53ヘルスチェックによる自動フェイルオーバーを実現する。
✓ 正解
ウォームスタンバイ構成は縮小版の完全動作環境を常時稼働させる手法です。RDSリードレプリカの昇格(数分)とAuto Scalingのスケールアウトを合わせてRTO 15分以内を達成でき、EFSレプリケーションでRPO 5分も満たします。予算制約も守れる最適解です。
Cマルチサイトアクティブ-アクティブ構成でus-east-1とus-west-2に同等キャパシティをデプロイ。Aurora Global Databaseのライト転送機能を有効化し、Route 53加重ルーティングでトラフィックを50:50に分散する。
マルチサイトアクティブ-アクティブはRTO・RPOをほぼゼロに近づける最高レベルの可用性を提供しますが、2リージョンに同等キャパシティを維持するため運用コストが約2倍となり、予算制約から採用できません。
Dバックアップ&リストア戦略を採用。AWS BackupでRDSとEFSの日次スナップショットを取得しEC2 AMIをS3に保存。障害時はCloudFormationでインフラ全体を再構築し、Route 53ヘルスチェックで自動切替を設定する。
バックアップ&リストア戦略はAWS Backupでスナップショットを取得しCloudFormationでインフラを再構築する最低コストの手法です。インフラ再構築に数時間〜半日かかるためRTO 15分の要件を大幅に超えており本シナリオには不適切です。
解説
ウォームスタンバイ戦略は本番の縮小版(通常20〜30%のキャパシティ)をDRリージョンに常時稼働させる手法です。RDSクロスリージョンリードレプリカはフェイルオーバー時に数分以内で昇格できるため、PostgreSQLでRPO 5分を達成できます。縮小版のAuto Scalingグループが既に稼働しているため、フェイルオーバー後すぐに最大キャパシティへのスケールアウトが開始でき、RTO 15分を実現できます。EFSレプリケーションにより共有ストレージのデータ一貫性が確保され、Route 53ヘルスチェックによりDNSフェイルオーバーが自動化されます。フルアクティブ-アクティブと比較して常時稼働リソースが約20%に抑えられるため予算制約も満たします。
選択肢Aのパイロットライト構成はデータ層のみ稼働させコンピューティングをAMIとして温存する手法で、フェイルオーバー時のEC2起動に30〜60分かかりRTO 15分の要件を満たせません。
選択肢Cのマルチサイトアクティブ-アクティブ構成はRTO数秒を実現しますが、2リージョンに同一キャパシティを維持するため運用コストが約2倍となり予算制約に反します。
選択肢Dのバックアップ&リストア戦略はインフラをゼロから再構築するため、RTO数時間〜半日かかりRTO 15分の要件を大幅に超えます。
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