グローバル展開する小売企業が、15年分の取引履歴データ(総容量8PB)をオンプレミスのNetApp NAS(Network Attached Storage:ネットワーク経由でファイルストレージを共有するアプライアンス機器)からAmazon S3へ移行するプロジェクトを開始した。データは以下3拠点に格納されている:東京オフィス(4PB)、ロンドンオフィス(2PB)、ニューヨークオフィス(2PB)。各拠点のAWS接続状況は以下の通りである:東京はDirect Connect 10Gbps×2本をLAG(Link Aggregation Group:複数の物理回線を論理的に束ねて帯域集約と冗長化を実現するネットワーク技術)で構成(合計20Gbps)、ロンドンはDirect Connect 1Gbps×1本、ニューヨークはインターネット接続のみ(実効帯域約1Gbps)。プロジェクト要件は以下4点である: ①3ヶ月以内に全データのAWS移行を完了すること、 ②移行期間中もオンプレミスシステムを継続稼働させること、 ③移行完了後は東京リージョン(ap-northeast-1)をマスターとしロンドンリージョン(eu-west-2)とバージニア北部リージョン(us-east-1)にレプリカを保持すること、 ④コストを最小化すること。これらすべての要件を満たす最適な移行戦略はどれか。
正解: 東京拠点はDirect Connect LAG経由のAWS DataSyncでap-northeast-1のS3マスターバケットに転送する。ロンドン拠点はSnowball Edge Storage Optimized複数台をeu-west-2リージョン向けに手配してS3一時バケットにインポートする。ニューヨーク拠点はSnowball Edge Storage Optimized複数台をus-east-1リージョン向けに手配してS3一時バケットにインポートする。全データのS3格納後、S3 Batch Replication(既存オブジェクトにも遡及適用できるバッチ型レプリケーション機能。通常のCRRは設定後に作成される新規オブジェクトのみが対象)を使用してeu-west-2とus-east-1の一時バケットからap-northeast-1マスターバケットへデータを集約する。集約完了後にap-northeast-1マスターバケットからeu-west-2およびus-east-1へのS3 CRRを設定して継続的なレプリカを維持する。 帯域幅試算では、東京(20Gbps LAG、80%利用)は実効約2GB/s≒173TB/日で4PBは約23日で転送可能。ロンドン・NY(1Gbps、80%利用)は実効約100MB/s≒8.6TB/日で各2PBに約230日必要であり3ヶ月(90日)の期限を大幅超過するため、ロンドン・NYはSnowball Edge(80TB/台×各25台程度)による物理輸送が唯一の手段です。各拠点の最近傍リージョンへSnowballインポートすることで国際輸送コストとリードタイムを最小化し、S3 CRRは設定後の新規オブジェクトにのみ適用されるため、Snowballで格納済みの既存オブジェクトをap-northeast-1マスターへ集約するにはS3 Batch Replicationが必須である点が重要な知識ポイントです。 選択肢Aはロンドン・NYは帯域制約で3ヶ月以内に完了不可です。 選択肢Bはロンドン・NYのSnowballデータをすべてap-northeast-1向けに輸送すると国際輸送ルートとなりリードタイムとコストが増大します。 選択肢Dはsnowmobileは10PB超の超大規模向けサービスであり2PB程度の拠点への適用はコスト過多であり、Storage Gatewayはハイブリッドアクセスやキャッシュを提供するサービスであり移行中の差分同期ツールとしては設計されていません。