SAAセキュアなアーキテクチャの設計
あるヘルスケア企業がHIPAA(米国の医療情報保護法)規制に基づき、患者データのアクセスログをAmazon S3に保存しています。コンプライアンス監査チームから以下の要件が提示されました。
①ログファイルは保存後7年間、いかなるユーザー(AWS管理者・rootアカウントを含む)も削除・上書きできないこと
②万が一、管理者の認証情報が漏えいした場合でも保護期間中のデータが改ざんされないこと
③法的証拠能力を満たすWORM(Write Once Read Many:一度書き込んだら変更できない不変ストレージ)として機能すること。これらすべての要件を満たす最も適切な設定はどれですか?
AS3 Object Lockをコンプライアンスモード(Compliance mode)で有効化し、デフォルトの保持期間を7年に設定する
✓ 正解
S3 Object Lock コンプライアンスモードは、保持期間中はAWS rootアカウントを含むいかなるユーザーもオブジェクトを削除・上書きできません。保持設定自体の変更も不可能であり、HIPAA・SEC 17a-4(f)などの厳格な規制要件を満たす完全なWORMを実現します。
BS3 Object Lockをガバナンスモード(Governance mode)で有効化し、デフォルトの保持期間を7年に設定する
S3 Object Lock ガバナンスモードは、s3:BypassGovernanceRetention権限を持つユーザー(通常は管理者)が保持設定を上書き・削除できます。管理者の認証情報が漏えいした場合にデータを保護できないため、「誰も削除できない」という要件①②を満たしません。
CS3バージョニングを有効化し、バケットにMFA Deleteを設定して削除操作にMFAデバイスを要求する
MFA Deleteは、S3バケットの削除操作にMFAデバイス認証を要求する追加保護機能です。ただしMFAデバイスを保有する管理者や権限を持つユーザーは削除が可能であり、「いかなるユーザーも削除できない」という完全なWORM要件①を満たしません。
DS3ライフサイクルポリシーでAmazon S3 Glacier Deep Archiveに移行し、Glacier Vault Lockポリシーを設定する
Glacier Vault LockはAmazon S3 Glacierアーカイブへのアクセスを制限するWORM機能ですが、通常のS3バケット内オブジェクトには直接適用できません。また低頻度アクセス向けのコールドストレージのため、監査目的で随時参照されるアクセスログには不適切です。
解説
S3 Object Lockのコンプライアンスモードでは、保持期間中はAWS rootアカウントを含むいかなるユーザーもオブジェクトを削除・上書きできません。保持期間やモード自体を短縮・変更することも不可能であり、HIPAA・SEC 17a-4(f)などの厳格な規制要件を満たす完全なWORMを実現します。
ガバナンスモードでは`s3:BypassGovernanceRetention`権限を持つユーザー(通常は管理者)が保持設定を上書き・削除できます。管理者の認証情報が漏えいした場合にデータを保護できないため、要件②を満たしません。
MFA Deleteは削除操作にMFAデバイスの認証を要求しますが、MFAデバイスを持つ管理者は削除可能であり「誰も削除できない」という要件①を満たしません。S3 Object Lockとは異なり、真のWORM保護を提供しません。
Glacier Vault LockはGlacierアーカイブに対するWORM機能を提供しますが、S3バケット内のオブジェクトには直接適用できません。またGlacierはコールドストレージ(低頻度アクセス向け長期保存)であり、監査目的で随時参照されるアクセスログには適切ではありません。
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